システム企画-その1

システム企画の手順

3-1.新たな業務モデルを定義する。
3-2.新たなシステムイメージを描く。
3-3.移行・展開イメージを描く。
3-4.運用・保守イメージを描く。
3-5.費用、期待効果、難易度を見積る。
3-6.プロジェクト計画の立案とベンダー選定を行う。

3-1.新たな業務モデルを定義する。

1)概要

業務の想定がないままシステム化はできない。システムそのものについて考える前に、想定する(目指す)業務を、業務モデルとして定義する。
業務モデルは、次の文書で表現する。

  • 業務フロー
  • 業務記述書
  • ビジネスルール

2)業務フローを書く

業務プロセス間のつながりを示す。横軸(あるいは縦軸)にスイムレーンを設け、アクター(組織)を設定する。縦軸(あるいは縦軸)は時間軸とする。

〈業務プロセスの粒度〉

業務フロー上に書き表す対象組織とその組織の粒度が決まれば、業務プロセスの粒度も決まる。業務フローの肝は組織間のコラボレーションを書き表すことにより、曖昧になりがちな責任範囲を明確化する点にある。

よって、業務プロセスの粒度はスイムレーンを飛び越えない限り、1つのプロセスで表現できる程度とする。

尚、組織の粒度には次のレベル(LV)がある。

  • LV0:会社(自社、他社)
  • LV1:部署
  • LV2:課、係、チーム
  • LV3:役員、社員

対象業務に応じた組織粒度を設定する。

〈業務フローの構成要素〉

  • 業務プロセス
  • 業務フロー(矢印)
  • フォークノード/ジョインノード
  • 分岐
  • 起点/終点
  • ノート(コメントなど記載)

「業務フロー」であり「データフロー」ではない。データの流れや制御の流れは記載しない。

システムとコラボレーションして行われる業務であることを表現したい場合は、「システム」のスイムレーンを設け、該当する業務プロセスからシステムのスイムレーンに向かって制御フロー(破線の→)を引く。組織粒度LV02あたりからこのような制御フローが登場する。

データの流れを明らかにする場合は、別途「データフロー」を作成する。

3)業務記述書を書く

〈業務記述書の項目〉

  • プロセスID
  • プロセス名
  • アクター
  • 目的
  • 事前条件(開始条件)
  • 事後条件(終了条件)
  • インプット
  • アウトプット
  • 基本系列
  • 代替系列
  • 備考

4)ビジネスルールを書く

業務プロセスから独立した、ビジネス運用上の判断基準および決定基準。ビジネスルールの機能はこれらの基準を提示することである。

〈ビジネスルールの機能〉

  • 状態の定義付け(レベルAとは…)
  • 状態の判定方法の提示(…ならレベルAとする)
  • 計算方法の提示
  • ガイドラインの提示
  • 次に起こすべきアクションの判定方法の提示
【アウトプット】
  • 業務フロー
  • 業務記述一覧
  • ビジネスルール

3-2.新たなシステムイメージを描く。

1)概要

必要とするシステムのイメージを描く。ここで描いたシステムイメージをインプットとして、次工程でシステム要件を定義する。

2)システムの全体概要を描く

システムの全体像を一枚の絵で表す。一枚の絵でシステムの物理的な配置場所、機能配置、データ配置、使用する回線、利用者が分かるようにする。

一枚の絵で概観することで多数の関係者との間でシステム構築についてのゴールのイメージを共有できる。正確性は大事だが、ここでは正確性よりもわかりやすさを重視する。

【アウトプット】

  • システム概要図

3)システム機能間の関連を描く

対象システムの機能と周辺システムの機能の関連を描き、対象システムの全体における位置付けと範囲を明確にする。

【アウトプット】

  • システム機能関連図

4)システム機能を定義する

システムに求める機能(システムの働き振る舞い)を定義する。システム機能とは、何らかの目的をもって、何らかのインプットを何らかのアウトプットに変換する働きである。

機能一覧には、その機能の目的、インプット、アウトプットを記載する。必要に応じて、アウトプットへの変換方法についても記載する。

更に、データフロー図でデータの流れを表現することで、システム機能を定義する場合もある。

【アウトプット】

  • システム機能概要一覧
  • データフロー(概念データレベル)

5)概念データモデルを定義する

主要なデータ項目、データの構造、データ間の関連(依存関係、多重度など)を明らかにする。保持期間を想定の上、データ量についても試算しておく。

【アウトプット】

  • 概念データモデル
  • 概念データ一覧

6)外部インターフェースを定義する

インターフェースの名称、方向、方法、頻度、タイミングについて記載する。

【アウトプット】

  • 外部インターフェース一覧

7)非機能要求を定義する

業務遂行の必要性と照らし合わせながら、システムに求める処理性能、信頼性、可用性、拡張性、保守性およびシステム構成について整理する。

【アウトプット】

  • 非機能要求一覧

参考文献

業務システムのための上流工程入門

上流モデリングによる業務改善手法入門

UMLモデリングの本質 第2版

――システム構築の大前提―― ITアーキテクチャのセオリー

システム設計の謎を解く 強いSEになるための機能設計と入出力設計の極意

システム企画-その2