システム分析-その3

システム分析の手順(再掲)

2-1.事業戦略を把握する。
2-2.あるべき姿を描く。
2-3.問題点を把握する。
2-4.施策を立案する。
2-5.リスク分析を行う。
2-6.投資対効果を見積る。
2-7.ロードマップを策定する。

2-5.リスク分析を行う。

施策の実行にはリスクを伴う。リスクを洗い出し、必要に応じてリスク対策を講じる。

1)リスクの種類

リスクには計画実行リスクと副作用リスクの2種類がある。

計画実行リスク

施策の内容によっては、施策に対する取り組みを妨げられる事が考えられる。これが計画実行リスクである。

〈例〉

商談情報をデータベース化し、属人的だった商談情報をオープンにし商談活動の効率化を狙った(計画)。しかし、営業マンにとって商談情報は飯のタネでもあり商談情報のオープン化に消極的であった(計画実行リスク)。

副作用リスク

施策は一定の効果を狙って行われるが、狙った効果以外の効果を生じる場合もある。これが副作用である。

〈例〉

商談情報をデータベース化し、属人的だった商談情報をオープンにし商談活動の効率化を実現した(狙った効果)。しかし、データベースへの商談情報の入力に大きな手間暇が掛かるようになってしまった(副作用)。

2)リスクの評価

リスクは「リスクが発生する確率」と「リスクが発生した場合の影響」で評価する。

〈例〉

以下のようなリスクAとリスクBがある場合、「リスクBのほうがリスク度は高い」と評価する。

  • リスクA:リスク値=5(=発生確率5%×影響=100)
  • リスクB:リスク値=12(=発生確率60%×影響=20)

考え方としては以上の通りだが、現実的には発生確率と影響を数値化することは難しい。実務的には、発生確率は「高/低」、影響は「大/小」程度で判定する。

3)リスク対策の種類

リスク対策には以下の4種類がある。

  • 回避:リスクの発生確率を下げようとすること
  • 軽減:リスクの影響を小さくしようとすること
  • 移転:リスクによる影響を他のプレイヤーに移すこと(保険など)
  • 保有:特に何もせず受け入れること

2-6.投資対効果を試算する。

1)投資対効果試算の概要

各施策の実行に必要な投資額と施策により得られる効果を見積り、投資対効果を評価する。

効果には、定量効果と定性効果とがある。

投資額には、イニシャルコストとランニングコストがある。コストに社内費用を含めていないケースが見受けられるが、社内費用もコストとして認識する。

定量的に把握できる効果については、「投資対効果=効果÷投資額」という計算式で評価できる。しかし、定性効果については数字での評価はできない。定性効果については、数字を越えたところで評価を下さなければならない。

【アウトプット】
  • 施策一覧※投資対効果含む

補足:「作業効率化による人件費削減」について

作業効率化によって、必ず人件費が削減されるというわけではない。人件費を削減するには、

  • 人を減らす
  • 残業時間を減らす
  • 給料(単価)を減らす

のいずれかを実現する必要がある。単に作業時間を短縮しても人件費は減らない。

例えば、作業効率化によって生まれた時間を有効活用し、組織全体の業務効率を向上させ、今よりも少ない人員で業務を遂行できるようになってはじめて人件費を削減することができる。

補足:システムリプレースにおける投資対効果

例えば、更なる作業効率化が期待できなければシステムリプレースは難しい、という話をきく。確かに現行システムを単に焼き直すだけでは、更なる作業効率化は難しいだろう。

しかし、そもそも、リプレースにおける論点は「更なる作業効率化ができるか?」ではない。論点は「現行システムを使い続けた場合の総コストと新システムにリプレースした場合の総コストとではどちらが低いか?」である。

リプレースを検討する際に、現行システムを使い続けることのリスクやシステム運用コストについての考慮が不足しているように思う。リスクやシステム運用コストを考慮すると、更なる作業効率化は難しくとも、リプレースしたほうがお徳(リプレースしておかないと損害がある)、ということは多々ある。

2-7.ロードマップを策定する。

施策の効果、コスト、順序性(施策Bを実行するには先に施策Aを完了させる必要がある)などを総合的に考慮して、ロードマップを策定する。

参考文献

SEのためのIT投資効果の測り方