先日、加工食品卸の物流について改めて考える機会があった。食品に限らず、卸売業にとって物流は重要な機能である。物流というよりロジスティクスといったほうがいいと思う。

ところで物流とロジスティクスとは何が違うのであろうか。学術的には詳細な(そしてややこしい)定義があるが、私は次のように捉えている。

物流 = モノを流すこと

ロジスティクス = うまいことモノを流すこと

〈うまいこと〉とはどういうことか。例えばトヨタ自動車のJIT配送(ジャストインタイム)や、コンビニにおける多頻度小口配送なんかが、うまいことモノを流している例といえる。

これらの何が〈うまいこと〉なのかというと、販売機会ロスを最小化しつつ、在庫コストとロジスティクスコストも最小化しているところが〈うまい〉のである。

ロジスティクス(うまい物流)を実現するためにはサプライチェーンを意識せざるを得ない。サプライチェーンを意識しないロジスティクスはあり得ない。

E.H.フレーゼル博士の定義によるサプライチェーン活動は次の5つからなる。

1 顧客サービス
2 在庫計画&管理
3 調達管理
4 輸配送管理
5 物流センター活動

このうち、2、3は在庫戦略に相当し、4、5がロジスティクスに相当する。

顧客へのサービスを満足させつつ、在庫コストとロジスティクスコストが最小になるように活動するのである。

加工食品卸売業にとっての主要な顧客は小売店である。小売店における販売増は卸売業の販売増に繋がる。小売店の商売なくして卸売業は成り立たない。

では小売店の言う通りにモノを流せば(物流活動を行えば)、それでロジスティクスと言えるだろうか。これは半分正解で半分不正解だと思う。必ずしも小売店のほうがモノがよく売れる方法を知っているとは限らない。業務の性格上、卸売業の方がより多くの情報を持っている場合もある(メーカー動向、地域の他の小売店の動向など)。

卸売業はその情報を活かしてリテールサポート機能とマーチャンダイジング機能を小売店に提供し、売れるマーチャンダイジングの実現のためにロジスティクス機能を提供するのである。

当然、小売店の立地や業態などによってベストなモノの流し方は変わってくるはずだが、実はこの「ベストなモノの流し方」については今後まだまだ深掘りする余地がある。

卸売業はその言葉の持つイメージのせいか、「メーカーがつくったモノをロットで販売している企業」と捉えられがちだが、卸売業の本質は「モノ売り」でなく「コト売り」である。リテールサポートしかりマーチャンダイジングしかりロジスティクスしかりである。

ところが卸売業の多くは「コト」に対して適正な価格を設定できていないと思われる。物流コストの総額は把握できていたとしても、どの小売店にどんな物流サービスを提供していて、その物流サービスにかかるコストやサービスの対価がいくらなのか?を正解に把握できていない。

これでは何が「ベストなモノの流し方」なのかわからない。例えどんなに売り上げが多くても、売り上げを上回るほどの物流コストがかかっていては意味がない。

かつてトラック運送業はドンブリ勘定の経営をしていると言われていたが、卸売業においてもロジスティクスの領域では同じことになってしまっている。

変化の激しい流通業界を生き残るためにも自分たちの商品である「コト」のコストを正しく捉え、適正価格で提供できるように、物流活動の見える化を進めていけなければならないと思う。

参考文献