情報戦略策定の方法論

情報化のためのガイドラインとしては、独立行政法人情報処理推進機構(IPA) が提供する「共通フレーム2013」や、ITコーディネータ協会が提供する「IT経営推進プロセスガイドライン」が有名です。実によく考えられたガイドラインなのですが、少々わかりにくいのが難点です。これから紹介する方法論は、これらのガイドラインをバックボーンとして、わかりやすさと使いやすさを優先して再構築した方法論です。

情報戦略策定プロセスは次の7つのステップで構成されます。

  1. 現状の姿(as-is)を可視化する
  2. 理想の姿(to-be)を描く
  3. ギャップ(問題点)を洗い出す(asis-tobe分析)
  4. 課題を設定し施策を立案する
  5. 施策を評価する
  6. ロードマップを策定する
  7. 次のアクションプランを立てる

1.現状の姿(as-is)を可視化する

この「現状の姿を可視化する」と次の「理想の姿を描く」は、場合によっては順番を変えたり、あるいは同時並行で進めます。私のような外部の人間が参画する場合は現状の姿を概要ででも把握しなければなりません。現状の姿をある程度把握している場合は、先に「理想の姿を描く」ことから始めても構いません。現状の姿を把握するためには、市場の動向、競合の動向、自社(組織体制、事業構造など)の動き確認します(3C分析、SWOT分析)。

詳細については 現状把握の進め方 を参照ください。

2.理想の姿(to-be)を描く

理想の姿についてなんとなくイメージはあるものの、初期段階ではモヤモヤとしていて言語化・具体化されていないものです。ここでは、理想の姿の言語化・具体化にチャレンジします。5年後に実現できるであろう姿、ビジョンをイメージします。

詳細については 理想の姿の描き方 を参照ください。

3.ギャップ(問題)を洗い出す

「現状の姿」と「理想の姿」との間にあるギャップを洗い出します。これをギャップ分析、あるいはAsis-Tobe分析と呼びます。現状と理想のギャップこそがこれから取り組むべき問題です。組織が有する機能に着目することで、抜け漏れなくギャップを洗い出すことができます。ギャップを洗い出す過程で、再度、現状把握(現状調査)が必要となる場合もあります。

問題、課題と施策

 

問題 理想の姿とのギャップ テストの点数が落第点だった
課題 クリアすべきこと テストで及第点をとる
施策 クリアするために実施すること 毎日2時間机に向かう

4.課題を設定し施策を立案する

前ステップで洗い出したギャップ(問題)に対して、課題(取り組みテーマ)を設定します。次に、課題(取り組みテーマ)をクリアするための施策(問題解決に向けた具体的な施策)をひねり出します。施策は大別すると、業務的施策とIT的施策にわけられます。業務的な施策には、役割の変更、組織の設立、ルール(制度)の変更、取引条件の変更などが含まれます。IT的な施策はシステムの導入と活用を中心とした施策です。

5.施策を評価する

施策により得られる効果を整理し、同時に、施策の実施に必要なコストを算出します。効果は定性効果(品質やサービスレベルの向上、時間の短縮、事業の継続性や社会的への貢献など)と定量効果(経済的な効果)にわけることができます。更に、実施に関するリスク(実施しないリスク、実施することで発生しうるリスク)についても整理(分析)します。これらを総合的に勘案し、実行に値する施策なのか否か評価します。

6.ロードマップを策定する

このステップまで進むと多くの施策がでてきているはずですが、通常、これら全ての施策に一度に取り組むのは困難です。業務改善への取り組みは、通常の業務をこなしながら行うことになります。限られたリソース(人・モノ・金)で効率よく業務改善を進めるためには、策定したロードマップに沿って効果的にリソースを投下する必要があります。ロードマップは通常3年、どんなに長くても5年のスパンで策定します。

7.次のアクションプランを立てる

策定したロードマップに従って具体的なアクションプランを策定します。アクションプランの中には、ITベンダーの選定も含まれます。RFP(Request For Proposal、提案依頼書)を準備しITベンダーへ提案依頼を行います。

参考文献