IT導入による「効率化」のウソ

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情報システムによる業務効率化とは

企業におけるIT投資の目的や狙いは様々ですが、もっとも多いのは「業務効率化」ではないでしょうか。業務効率化とはシステム化による業務の自動化・高速化・省力化・精緻化です。

この、業務効率化の効果について「作業時間が削減され、それゆえに人件費が削減される」という説明がなされます。

例えば・・・

  • システム導入により「1人あたり10時間/月」かかっていた作業が「1人あたり4時間/月」で済むようになります。
  • 現在10名がこの作業を行っていますので、60時間/月(=(10時間-4時間)×10名)の削減が期待できます。
  • 仮に、時間当たりの人件費を3000円/時間とすると、18万円/月(=60時間×3000円)の削減効果です。年間換算で216万円の削減、3年間で648万円の削減効果です。

という具合です。更に、

  • ご提案のシステムの導入コストは300万円です。
  • 計算上は、1年と5ヶ月(≒300万円÷216万円/年)で投資分の回収が可能です。

と続けます。

本当に年間216万円の人件費が削減できるのか?

結論から言えば、システムを導入しただけで年間216万円の人件費が削減されることはありません。

仮に、10時間/月が4時間/月になったとしても、削減された6時間は、他の業務に振り向けられているか、休憩時間に振り向けられているかのどちらかになります。

もし、「6時間の削減」が「6時間の残業時間の削減」であったり、アルバイトやパートタイマーの時間であるというなら別ですが、判断は難しいでしょう。

そんなわけで、作業時間の削減=人件費の削減と考えるのは、少々問題があります。

情報システム投資の効果

投資効果を定量化(数値化)することで、「大きい」とか「小さい」などの感覚論から脱却し、より客観的な評価が可能となりますが、単純に考えすぎると「机上の空論」に成り下がってしまいます。

業務効率化=コストダウンとするのでは短絡せずに、業務を効率化することで、具体的にどのようにコストダウンを図れるか?まで考えるべきでしょう。

 

尚、情報システムの効果は、定量効果定性効果に分けられます。

定量効果の筆頭は「コストダウン」ですが、定性効果としては、

  • 業務精度の向上
  • 業務スピードの向上(とそれに伴うリードタイムの短縮や精度の向上など)
  • 余剰労働力のコア業務へシフト
  • データの二次利用(分析など)によるビジネスの可視化

などがあげられます。

企業の成長はコストダウンだけではなしえません。競争優位の創出・強化が必須です。

情報システムの定性効果は、競争優位性の創出・強化の源です。

その意味では、競争が激しい事業においては、定量効果以上に定性効果をよく見極める必要があります。

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