【書評】事業創造のロジック

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感想

大変面白い本でした。本のタイトルに「ロジック」を冠しているだけあって内容もロジカルに展開されます。簡潔な表現で書かれており非常に読みやすい。休日1日で読み終えてしまうのではないでしょうか。

サウスウエスト航空やQBハウスの事例は「またか」と感じる人もいるかと思いますが、誰もが知っている事例を独自の視点や切り口で分析・解説している箇所もあり、参考になります。

著者が提言する「差別化システム」は、個人的には、直感的に分かりやすいと思えるものではありませんでしたが、ビジネスシステム全体から部分を切り出して「模倣困難性」を超えていくための具体的な方法論として、有効なヒントになると感じました。

書かれていること一つ一つには目新しさはありませんが、その一つ一つを「事業創造のロジック」でまとめあげ、それぞれの要素が関連して機能している様子をわかりやすく提示している点は非常によかったです。

目次と私のコメント

第一部 出発点

今さら感はあるかもしれませんが「顧客を中心に考える」ということ主張しています。「経営者の意図をビジネスモデルとして設計する際には顧客を出発点とせよ」ということです。「顧客視点」とはまたちょっと違います。Amazon社のKindle事業が事例としてとりあげられています。

第二部 因果関係

お弁当の製造・販売を営む「玉子屋」の事例の解説が秀逸です。ビジネスを回せば回すほど自己を強化するロジックがどういうものかわかります。もちろんこれを読んだだけで、そのようなロジックを組み込んだビジネスモデルを作れるようになるわけではありませんが、「知っている」のと「知らない」のとでは、その差は大きいかと思います。

第三部 妥当性と正当性

人によってはネットスーパー「おかいものねっと」の「始まりと終わり」の話が身近に感じられるかと思います。「妥当性」の章で、事前の前提・仮説の置き方がその後の運命をどう左右するかを解説しています。

当初仮説がことこどく外れてビジネスがボロボロになっていく様を想像するとゾッとします。私も、この「仮説がことこどく外れていくビジネス」に関与した経験がありますが、あれは恐ろしいものです。

ちなみに、私は「仮説立案・検証・軌道修正のサイクルを高速回転させる仕組みが必要」と考えていますが、ここでは触れられていません。

第四部 模倣困難性

冒頭に書いた「サウスウエスト航空」を事例としてあげ、解説しています。「『模倣困難性』つまり『他社への競争優位性』をどのようにつくり維持するのか」という話よりも、「模倣困難なものをどうやって取り込んでいく(模倣する)のか」という話が参考になります。

第五部 発展性

章を分けて、DeNAとセブンイレブンジャパンの事例をとりあげ解説しています。この章を読んで「自分には無理だ」「結果論だ」と思ってしまう(思考停止する)のか否かで、得るものは全然違います。

個人的には、この「発展性」に関する理解を深めるには、浴びるように他社事例を読んでいくのがよいと考えています。多くの事例にあたることで、帰納的に「見えてくるモノ」があります。その「見えてくるモノ」とは、先に言ってしまうと「経営者の執念」です。

この本を契機に、DeNA関係の書籍やセブンイレブン関連の書籍にあたるのもいいでしょう。この本の最後に「参考書籍」として紹介されています。

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