なぜSI企業は魅力がないのか

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エンタープライズ系のSI企業はイケてなくて、Web系のIT企業はイケてる、という風潮がある。「SI企業は未だにウォーターフォールだからイケてない」みたいな話を耳にすることあるが、ウォーターフォールかアジャイルかは問題ではなく、「SI企業の計画至上主義」に問題があるのではないかと思っている。

SI企業というのは労働集約産業だから、人(SE)の稼働がそのまま売上になる(厳密には違うが、実質的にはそういっても差し支えない)。だから、とりあえずどんな人でもいいのでプロジェクトに突っ込んでおけばそのプロジェクトは動き出す。

しかし動き出した以上、ある一定以上の成果(成果物)を出す必要がある。そうでなければ納品して検収をうけることができないからだ。検収してもらえなければ売上もあがらない。

そこで、SI企業では、現場側がどんなメンバーであろうとも、一定以上の成果を出せるよう管理側でなんとかしてしまおうとする。この活動が「SI企業におけるプロジェクトマネジメント」である。

そこではメンバーの特性や個性は無視される。基本的に管理側は現場側を信用しない。信用してはならないと教えられているからだ。現場側からの全ての報告を疑ってかかる。管理側は、疑惑の度合いを一定水準以下に保てるよう、現場側に対して厳密に規定した管理ルールに則った報告を要求する。

このような取り組みにより、管理側は現場で起きていることを正確にモニタリングし、不穏な動きがあれば即座に遅滞なく手を打つ…という訳だ。

尚、即座に遅滞なく手を打つためには、あらかじめプロジェクトのリスク分析を実施し、考えうる対応策を講じていなければならない。

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プロジェクトマネジメントは必要な活動だとは思うが、その取り組み方には疑問が残ることもある。

一つ目は「ちょっとやりすぎなんじゃない?」という疑問だ。

誰でも(管理側は特に)失敗はしたくないので、時に過剰とも言えるほど管理に時間(工数)を割くことがある。「過剰」というのは「失敗しないためのコスト」が「失敗した時のコスト」を大きく上回っている状態を指す。

プロジェクトでは、緻密で正確な設計、綿密なレビュー、適切な報告などが求められるが、「これはやりすぎでは?手早く作ってしまって、どうしてもダメなら原因究明のうえ、作り直せばいいのでは?非効率ななのでは?」と思うことはよくある。

非効率とはつまり無駄が沢山あるということである。人というのは、無駄なことを(それも延々と)させられるのはツラいものである。

二つ目は「生産性を著しく貶めてはいないだろうか?」という疑問だ。

先にも書いた通り、ここではメンバーの特性や個性は無視される。皆が同じように同じレベルで管理される。個人の特性や個性を無視してガチガチに管理されたら誰だってモチベーションは低下する。そして、モチベーションが低下すれば生産性も低下する。

主体性とモチベーション、そして生産性は相関している。主体性を奪われることほどツマラナイこともそうない。生産性も低下し、仕事も面白くなくなるなんて。

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プロジェクトを推進する上で、プロジェクトマネジメントは必須の活動である。ただしやり方はひとつではない。プロジェクトの特性、メンバーの特性、チームの実力、プロジェクトの状況に適応したマネジメント活動が求められる。

SI企業のビジネスモデルでは仕方のないことなのかもしれないが、先に上げた「疑問」は計画至上主義の弊害だと思う。

SI企業は、計画(見積)を根拠としてクライアント企業と契約を取り交わす以上、クライアント企業側に起因するような前提条件の変更(要件追加とか仕様変更とか)がなければ計画を変更することは難しい。

しかし実際にはSI企業に起因する(暗黙の)前提条件の変更(生産性が想定より低い、思うようにプロジェクトメンバーが集まらない…など)は普通にあり得る。SI企業、クライアント企業という立場の違いがなければ、SI企業側の前提条件の変更内容も織り込んで都度、計画を変更(適正化)したいところだがそうもいかない。

そこで、個性を排し無駄なコストをも織り込んだ計画を立案し、軍隊式ともいえる計画至上主義のプロジェクトマネジメントが行われることになる。

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このようなプロジェクトに関わるのは、個人としては本当につまらなくうんざりすることだと思う。

もし、活き活きとして取り組んでいる人がいるとしたら、その人は「仕事とは言われたことをできる範囲でやるだけのもの」という風にハナから主体性を放棄しているのではないだろうか。ハナっから仕事に対して魅力だのなんだのを求めていないのかもしれない。

このような有り様では現在のような旧態依然としたSIビジネスは長くもたないだろうと思う。魅力のない仕事に有能な人は集まらないからだ。

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繰り返すが、プロジェクトマネジメントはプロジェクトを推進する上で必須の技術であり活動である。プロジェクトマネジメントに関する書籍は多数あるが、どうせ読むなら軽めのものではなく、プロジェクトマネジメントについてきっちりと説明している書籍をお勧めする。

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