デジタルトランスフォーメーションはシステム開発をどう変えるか

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これからの、システム開発ビジネスについてふと思ったこと。

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普通は、いきなり「システムを開発しよう」と考えるわけではない。最初に、何らかの「目指している状態」や「解決したいこと」があり、そのための手段として「システム」が浮かび上がってくる。

その後で、システムの利用について考える。どんなシステムがあれば「目指している状態」に近づくことができ、「解決したいこと」を解決できるのか? 考えた結果システムのカタチが浮かび上がり、「おー、こりゃあいいぞ」と思えるのであれば本格的にシステム開発に取り掛かることになる。

思い描いたシステムのカタチは、仕様書なり設計書として書き起こす。場合によっては手書きのメモでも構わないかもしれない。全世界で3億を超えるアクティブユーザー数を誇るTwitterも最初は手書きのメモから始まっている(*1)。人は忘れやすい生き物だし、システムのカタチを複数の人で共有し開発するのであれば仕様書なり設計書なりのドキュメントは欠かせない。

で、そのドキュメントを主なインプットとしてソフトウェア、うごくモノをつくりテストする。テストしてはじめて「思った通りに動いてくれない」とか「思った通りに動くけど、何か想像していたのと違う」という事がわかったりもする。思った通りに動くし、想像通り、あるいは想像以上にいい感じになればそこでテストは終わり。あとは実際に使ってみる。

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すごく乱暴に言ってしまえば「システム開発」ってこういう事だ。「システム開発」と言っているけれど、その中心にあるのは「システム開発」ではない。「開発したシステムで得られること」にこそが真ん中にあるし、そうでないと意味がない。

「システム開発」は複雑で、その方法もバリエーションに富んでおり、また、知的な行為であるからこそ、多くの労力を注ぎ込むだけの魅力がある(・・・必ずしもそうとは言えないケースもあるが)。それゆえ、ついつい「開発したシステムで得られること」よりも「システムを開発すること」にフォーカスしてしまう。「手段の目的化」というヤツだ。言い換えれば(少なくともその瞬間は)「成果よりもプロセスが大事」という状態に陥っているとも言える。

成果よりもプロセスが大事?

そんなことはない。成果こそが重要だ。もし「プロセスを経ることこそが重要だ」と考えるのであれば、実はそれは「プロセスを経る」ということそのものが「成果」なんだと思う。

この意味で、SIerやITベンダーは真にシステム開発を行うことはできない。今では「外注さん」とか「下請け」という言葉を使わずに「ビジネスパートナー」と呼ぶことが増えてきているが、ビジネスパートナーにはなりえてないのではないか。「ソフトウェア開発能力」を武器にビジネスパートナーとなることと、「ソフトウェア開発能力」を切り売りすることは似ているようで違う。SIerやITベンダーがSIerやITベンダーである限り、永遠にビジネスパートナーにはなれないのではないだろうか。

では「ソフトウェア開発能力」を武器にビジネスパートナーになり得る企業とはどういう企業か?それは、SIerやITベンダー側からみた「ユーザー企業」だと思う。ユーザー企業Aがユーザー企業Bのビジネスパートナーとなり、ユーザー企業Bがユーザー企業Aのビジネスパートナーとなる。

例えば、ユーザー企業Aはマーケティングには強いがソフトウェア開発は苦手だとする。この場合に、マーケティングには弱いがソフトウェア開発を得意とするユーザー企業Bがユーザー企業Aと協力してひとつのビジネスを進める。これこそがビジネスパートナーの関係ではなかろうか。

数年ほど前から「デジタルトランスフォーメーション」といういかにもバズワードっぽい言葉がはやりだしたが、この、「デジタルトランスフォーメーション」が進むと、必ず「ソフトウェア開発能力」に優れた企業(上の例でいうユーザー企業B)が増えてくることになる。こうなるとSIerやITベンダーは永遠に「外注さん」「下請け」に留まってしまうことになりかねない。

「外注さん」「下請け」が悪いといっているわけではない。また、すぐに仕事がなくなるわけでもないと思う。ただ、SIerやITベンダーは気をつけなければならない。「デジタルトランスフォーメーション」が進めば、社会全体で「ソフトウェア開発」の仕事は増えるだろう。しかしその仕事が自分のところに転がり込むようになるとは限らない。先ほどのユーザー企業Bのように「デジタルシフト」を果たした企業が、その「ソフトウェア開発」の仕事を担うようになってくるからだ。ということは、これから先、「ソフトウェアの開発ができます」だけで食べていくのは難しくなるだろう。何か、プラスα、固有の付加価値が必要となる。

<追記>

ユーザー企業が「デジタルトランスフォーメーション」化していく一方で、SIerやITベンダーは「ソフトウェア開発」というデジタルビジネス以外の何かを求めて「アナログトランスフォーメーション」が必要になってくるのかもしれない。冗談みたいな話だけれども。

*1 参考「ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り」

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カテゴリーIT