【書評】ザ・会社改造

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数年前、半年ほどの間ですが、とある大手企業の業務改革プロジェクトに参画しました。そのプロジェクトの中心メンバーの一人が「今の私にとってのバイブル」と言っていたのが「三枝3部作」でした。すなわち、

  • 戦略プロフェッショナル
  • 経営パワーの危機
  • V字回復の経営

の3作品です。

いずれも、事業再生請負人として活躍した三枝匡氏の実体験に基づいたビジネス小説風フィクションです。フィクションといっても実体験に基づいているだけあってかなり生々しく迫力があります。

今回取り上げる「ザ・会社改造」も同様のスタイルです。前3部作と異なるのは、以下の3点でしょうか。

  • 主人公が三枝氏本人であること(前3部作もそうでしたが、今回は作中に「三枝」と実名をだして明記している)
  • 舞台が、自身が社長を務めていたミスミであること(ちなみに前作「V字回復の経営」の舞台はコマツであったことは有名ですね)
  • 短期決戦の事業再生ではなく、10数年に及ぶ正に「改造」であったこと

3点目の違いを除けば、前3部作とあまり変わらない内容にも思えますが、この3点目こそがこの本を読む価値をグッと高めているように思います。

特に素晴らしいと思ったのは三枝氏が構築したフレームワークの数々です。

三枝氏は「独自のフレームワークを持て」と書いています。何か新しいフレームワークを生み出すべし!というように考えるかもしれませんが、ここでは「独自のフレームワーク=フレームワークを自分のモノにする」くらいに捉えておいた方がいいかもしれません。

フレームワークは大変便利なのですが、料理道具と同じで、使う者の力量次第で生み出されるモノに雲泥の差がつきます。

フレームワークであろうが何であろうが、実践の場で使い倒してはじめてその価値の片鱗をつかむ事ができます。

皆さんにも経験があるかもしれませんが、

ひとつのフレームワークで、頭の芯が痺れるほど考え抜いてはじめて至る境地(というと言い過ぎかも)があります。そこに至りやっとはじめてストンと腹落ちします。

フレームワークに限らず、またビジネスに限らず、およそ理論というものは実践を経て身に染み入るものですし、それがまた実践能力を高めるという関係にあります。まさに車の両輪の如しです。

この「ザ・会社改造」は「実践にフォーカスした理論書」といえるのではないかと思います。

ほぼ全ての登場人物が理論を手にしながらも実践の場で悶え苦しむのですが、それこそがまさに会社改造の中核であり、これを乗り越えてはじめて、企業と人の成長があるんだな、ということが分かります。

三枝氏の本を読むと、どうしても「熱く」なってしまいますが、その後に強烈な嫉妬にも似た歯がゆさを覚えることになります。

「この本の向こうではこんなにも熱く戦い、そして成長していく人びとがいるのに、私は今ここで何をしているのだ?」と。「私は本気で戦っているのか?」と。

とまぁ、このように悩ましい本ではありますが、内から外から会社の何かを変えてやろうと奮闘している方には大いに参考になろうかと思います。興味がありましたら是非ご一読することをおすすめします。

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