【書評】物語 シンガポールの歴史

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2015年3月、シンガポールの元首相であるリー・クアンユー氏が亡くなりました。シンガポールといえばマー・ライオンと金融とリー・クアンユーくらいしか知らなかったのですが、そのリー・クアンユー氏が亡くなったという報せを受け、衝動買いしたのが中公新書の「物語 シンガポールの歴史」です。ずーっと積ん読してました。

いや~、大変面白く一気に読んでしまいました。

シンガポールの歴史とはすなわち建国の父リー・クアンユーの歴史であるといっても過言ではないという事を理解しました。「建国」と書きはしましたが、シンガポールと本当に特殊な国で、国というよりは、リー・クアンユーというキレキレの経営者が率いる企業(だった)という印象です。

あの狭い国土(東京都23区とほぼ同じ広さ)でありがながら、イギリス植民地時代からマレーシアへの併合・離脱を経て独立国家となった1965年から現在までのわずか50年で、1人当たりのGDPは世界でも上位(2015年で7位。ちなみに日本は26位)という成長ぶりは本当に驚くべきものです。

リー・クアンユーの強烈なリーダーシップと統制(と抑圧!)によって、近隣諸国と比べてぶっちぎりの経済発展を遂げた国ですが、

①その経済も成熟段階に入った
②インターネット時代になり情報が自由に行き交うようになった
③豊かな時代に生まれたネィティブな国民(*1)が中核世代となった

等の理由から、リー・クアンユーの統治スタイルが通用しなくなっており、今後の国のあり方、統治のあり方については模索中であるといわれています。

*1 生粋のシンガポール人。シンガポールはもともと華人、マレー人、インド人の移民からなる多民族国家であり、国への帰属意識が薄かったようです。

大前研一氏によると、今後のシンガポールは「生活レベル維持も困難」だとの事。(参考ページ

確かに歴史をひもとくと、これまでができすぎと言いますか、ありとあらゆる事が奇跡的にかみ合った結果の経済成長だったようにも思えます。

今後の動向に注目したいと思います。

尚、現在の首相はリー・シェンロン。リー・クアンユーの長男です。経歴を拝見するといわゆるスーパー・エリートです。シンガポールは人民行動党というトップエリート集団の一党独裁国家ですから、首相がスーパー・エリートであることはある意味必然です。

大前研一氏に言わせると「リー・クアンユーの長男であるという以外に取り柄のない人物」だそうですが・・・ほんとかいな。

脱線しました。本書は中公新書らしく堅実でしかし決して読み手を退屈させない内容になっており、単に読み物としてもかなり面白いと思います。

もしシンガポールの地を訪れる機会があるのなら、是非とも読んで欲しいと思います。第二次世界大戦下、日本がシンガポール社会に対して行ってしまったこともきちんと説明されています。このような歴史を知らずにかの国に訪れるのはよろしくないな、と思う次第です。

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