進捗率による進捗管理はどのように行うべきか

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その進捗率は正しい?

多くの場合、システム開発プロジェクトでは、WBSを定義し、開始日・終了日、担当者を設定し、ガントチャート化します。

尚、ガントチャート化されていることはWBSの要件ではありませんが、実態としては、ほぼ100%ガントチャート化されています。

プロジェクト管理者は、このWBSを片手にプロジェクトの進捗管理を行います。

今回はこの進捗管理についての話です。

私が毎回「う~ん」と思うのは、これらのWBSに記載される、各タスクの進み具合を示す「進捗率」についてです。

この進捗率、どういう風に使うかといいますと、まぁ、そのまんまなのですが、例えば「受注入力画面の基本設計」というタスクがあるとして、そのタスクに対する「進捗率」を、パーセンテージ(例えば”60%”など)で入力する、ということをやります。

こうすると、プロジェクト管理者はWBSをみれば、やるべきこと(タスク)と実施時期と進捗状況を把握できる・・・という塩梅です。

役に立たない進捗率

ですが多くの場合、この「進捗率」がはなはだ怪しい。

先ほどの例では、進捗率”60%”と書きましたが、この60%はどうやってはじき出したのでしょうか。62%ではなく60%とする理由はなんでしょうか。あるいは、本当は50%だ、ということはないのでしょうか。

多くの場合、根拠がなかったりします。

もしお手元に、進捗率が記入されているWBSがあるなら、その進捗率を記入した人に聞いてみましょう。

「この60%って、具体的にはどうやって算出したの?」
「今、半分ちょっとすぎたところです。ですから、だいたい60%という感じですね。」

というような答えが返ってくるかもしれません。

だいたい60%という感じ

お分かりでしょうか。

進捗を記入した人(担当者)の感覚値なんです。心理的な進捗率といってもいいかもしれません。

まったく同じ状況であっても、人によって進捗率が変わる可能性があるということです。人によっては50%かもしれませんし、80%かもしれません。

こんな進捗率が一体何の役に立つんでしょうか。

完了状態 (Done) と未完状態 (Undone)

ではどうすればいいんでしょうか。

基本的には、タスクに対する進捗は「未着手」か「仕掛中」か「完了」の3つで管理すべきだと思います。ここに「率」の考え方はありません。

終わったか終わっていないか。

終わっていないのなら、着手しているのかしていないのか。

何をもって完了とするかについても決める必要はありますが、こうしておけば、だれの目にも進捗状況が明らかになります。

完了したかどうかだけではなく、その状況も管理したい

しかしこうすると、着手から完了までの期間が長いタスクについては、その進捗についてやきもきすることになります。

例えば先ほどの「受注入力画面の基本設計」というタスクの開始~終了の予定日が2/1(月)~2/19(金)だったとしましょう。

毎週水曜日に進捗確認するとした場合、どうなるでしょうか。

1/27(水) 来週から着手だな。
2/03(水) うむ。予定通り着手したな。
2/10(水) 仕掛中か・・・
2/17(水) 仕掛中か・・・
2/24(水) ケース1 うむ。予定通り完了しているな。
ケース2 ゲっ。まだ仕掛中!?何か問題でも?

となってしまいます。

ご覧の通り、このやり方だと「予定通り仕掛中である」ということ以外わかりません。2/10、2/17の時点で何かしらの手を打てたかもしれないのに・・・

更にタスクを分解!

タスクを分解します。

先の「受注入力画面の基本設計」タスクを分解すると、例えば「ドラフトを作成する」「チーム内レビューを行う」「ドラフトを修正する」「ユーザーレビューを行う」「指摘事項等を加味して最終的な修正を行う」などの作業に分解されます。

あるいは、画面基本設計が「画面遷移図」「画面レイアウト」「画面項目定義」・・・・などで構成されているのであれば、これに合わせて成果物で分解してもいいかもしれません。

前者がアクションベースのタスク分解で、後者が成果物ベースのタスク分解ですね。

このように分解すれば、例えば、2/10(水)の段階で「ドラフト作成が完了しているかいないのか」や、あるいは「画面遷移図ができているのかいないのか」がわかりますので、手の打ちようもでてきます。

どうしても進捗率が必要なんだ

しかし、どーしても「進捗率」で管理したい、ということもあると思います。諸事情あり「数値で把握すること」を求められることもありますからね。

この場合は、設定したタスクを分母として、完了したタスクを分子とすることで進捗率を算出することができます。

たとえば「ドラフトを作成する」まで完了しているのであれば、進捗率1/5(全タスク5つのうち1つが完了)、つまり20%という具合です。

但しこの場合は、分解したタスクの負荷がある程度揃っていないと誤解を与えてしまうかもしれません。少なくともどのような前提のもと算出された進捗率であるか、という点については説明する必要があるでしょう。

尚、ガントチャートという言葉がでてくることからお分かりの通り、ウォーターフォール開発を念頭に書いたエントリーですが、完了か未完了か、完全Doneかそうでないのか、という考え方は、私の実経験に加えて以下の書籍の影響もあります。

XPについての書籍ですが、プロジェクト管理全般についても示唆に富むよい本だと思います。システム化開発に携わる人にはオススメの書籍です。

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カテゴリーIT