IoTで「見える化」して困る人々

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IT Proの記事、IoTに強い関心を示す経営者の真意、10年遅れの「生産の見える化」を読んで、思った事を。

IoTと中小企業

IoTに注目が集まっていますが、目下のところIoTに関心があるのは一部の大手企業と大手IT企業、IT系ベンチャー企業、その界隈の企業でしょうか。

ビッグデータともども、具体的直接的な効果を期待できるソリューションはまだまだこれからという感じであり、今のところ中小企業の関心は低いように思います。というか、まず出てこないですね。「IoT」なんていう言葉。

「見える化」するとどうなるか

もう10年ほど前の話です。とあるシステム構築に関わっていた時の話ですが、とあるレポートの出力仕様について検討していました。その際、ユーザー企業側の担当者から「その切り口は必要ありません。実態が見えすぎてしまいますから。わかるでしょ?」という発言がありました。

検討していたレポートは、社員の労働時間や休憩時間に関するものだったのですが、つまり「正しく出力・表示してしまうと、労働基準法や36協定に抵触していた場合にそれが明らかになってしまう」という事を言いたかったようです。

その時は耳を疑いましたが、別の企業でも類似の発言を聞いたことがあり、正しいか否かは別として偽らざる本音なんだろうな、と思った記憶があります。

何を気にしているのか

これらの担当者は以下のようなことについて危惧しているのです。

例えば、(積極的にそうしているわけではないにせよ、)法令的に十分な休憩を与えず働かせてしまっているとしましょう。それで、「それはイカン」ということになって、強制的に休憩を与えた(一切の仕事をさせない)としましょう。そうすると現実的には業務が回らなくなるんではないか・・・と。

上記の「休憩」を「残業代」に置き換えても同じです。この場合は「業務が回らなくなる」のではなく「経営が回らなくなる」となります。

見えすぎちゃって困る人々

また、例えば、これまで見えなかった(敢えて見てなかった)残業を見える化し、きちんと残業代を払うようにすることで、結果、経営が回らなくなってしまったとしたら、そこで働く人々も働き口を失うことになります。(だから残業代は払わなくてもいい、というわけではありませんが。)

これがわかってしまっている人も「見える化」には消極的かもしれません。(ちなみにそれがわかっている人は、決して最低賃金を1,500円にせよ!というようなデモには参加しないでしょう・・・)

他にも、経営者は工場や製造原価を「見える化」したいと考えていても、工場をブラックボックス化することで自身の発言力や存在価値を高めているような工場長は、「見せたくない」と思っているかもしれません。

「見える化」は痛みを伴う・・・場合がある

「見える化」は「痛み」を伴うことがあり、その「痛み」を許容できる人ばかりではありません。

正しく行うことで経営なり業務が回らなくなるのなら、その経営や業務は破綻していると考えるべきです。ただ、だからといって直ちに放棄するべきだ、というのも違います。

本来は「正すべきところがあれば、取り返しがつかなくなる前に是正する」という態度でのぞむべきだと思います。

ですが、残念ながらそういう企業(担当?)ばかりではありません。IoT浸透の一番の阻害要因は技術や価格だけはなく、こういうところにもあるのではないか、と思った次第です。

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カテゴリーIT