生産性を犠牲にしてまで残業する理由

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アート・オブ・アジャイルデヴェロップメント

最近「アート・オブ・アジャイルデヴェロップメント」という本を読んでいます。大型でページ数もかなりあります。今確認したら400頁強ありました。これを、隙間時間を見つけては読むようにしています。

この本では、XP(エクストリームプログラミング)の様々なプラクティスが紹介されています。タイトル通りアジャイル開発に関する本ですが、ウォーターフォール開発であろうが、あるいは、システム開発とは関係がなかろうが、「チームで仕事をする」人には有益な本だと思います。

残業の増加は生産性を低下させる

本書の中に、トム・デマルコの言葉が引用されていました。

残業を増やすことは、生産性を低下させる方法である。

私はちょくちょくTwitterを覗いているのですが、TLにこんなつぶやきが流れてきました。(記憶で書いています。正確ではないかもしれません。)

残業すればするほど生産性は落ちていくってのに、わかっていない人が多すぎる

まー、そうですよねー。そう言いたくもなりますよね。

「もう少し常識的な作業量にしてくれよ。こんなに詰め込まれたら生産性も落ちるっちゅうねん。」

こんな風に思ってしまうこともあると思います。

生産性より生産量

じゃー、なんだってそんなに作業を詰め込むのかというとマネージャーは「生産性よりも生産量を優先しているから」です。「約束した期日までにモノ(システム)を完成させる」ということを優先します。

約束したモノを約束した日までに完成させることが一番大事(生産量が大事)なのであって、どれだけ効率よく作ったかは二の次です。

何故でしょうか?それは「生産量は顧客との約束事ですが、生産性はそうではない」からです。

顧客からすれば、注文した100個が納品されればそれでよいのです。その100個が効率よく作られたかどうかは、(価格に反映されない限り)どうでもいいのです。

「100個注文をいただきましたが、80個しかできていません。残りの20個は2週間まってください。

しかし通常よりも高い生産性で製造することができていますよ!(取引価格には関係しませんけどね。)」なんて話が通用するわけありません。

生産量は顧客との約束

顧客との約束を考えると、とにかく必要な量を(約束した時期までに、”常識的な”品質で。常識的な品質って何だ?)作り上げることが優先することになります。

「それはできない」というのであれば、お話にならない、つまりビジネスとして成立しません。

コストダウンを目的とした生産性向上

一方、生産性はどのような文脈で求められるかというと、コストダウン、言い換えれば利益確保が要求されるときです。

マネージャーの頭の中はこうです。

100個を100万円で受注した。1個8千円かかるとして原価は80万円。粗利は20万円だな・・・

ここがスタートラインです。で、次にこう考えます。

“生産性をあげて”1個7千円でつくることができれば、原価は70万円。粗利は30万円か・・・

それで、プロジェクトの終盤になってこんな風に言われます。

「会社の業績が芳しくない。このプロジェクトは予定通り進んでいるが、会社へ貢献するためにも”生産性をあげて”原価率を改善してほしい。」

労働時間と生産性

営業活動はまさに競争です。営業さんは、必死の営業活動の末に受注を勝ち取ります。

顧客の要求は高く、納期もコストも厳しいこともあるでしょう。しかし、厳しい納期であっても、失注すれば工場が(SIerならエンジニア)が遊んでしまう。

仕事がなくとも定時までは就業しますし、その分の人件費は発生します。それだったら多少無理してでも受注したほうが良いと考える事もあると思います。

仮に、生産性が最も高くなる労働時間(例えば「1日3時間、残業は一切なし」など)というものがあるとしても、「労働時間をコントロールして生産性を高める」というのは、困難でしょう。

例えば「1日3時間、残業は一切なし」という条件でスケジュールをひくと、顧客が希望する納期には間に合わないかもしれません。設備や人は都合よく増えたり減ったりはしませんから、(納期を守るために)生産性を犠牲にしてでも労働時間を長くするしかありません。

「3名のチームなら6ヶ月で終わる(18人月)。1人なら12ヶ月で終わる(12人月)。」という話と同じです。無論、大抵は6ヶ月で終わらせねばならなりません。

労働時間以外の要素で生産性を高める

そういうわけで労働時間を短くする以外の方法で、生産性を高めることを考えなければなりません。

例えば、1日4時間の労働でも納期に間に合わすことのできる組織づくり(生産性が4時間という数値は適当です。あしからず。)に取り組むとか、会議のやり方を変えてコミュニケーションコストを減らす努力をしてみるとか、開発ツールやフレームワークを利用してみるなど、です。(他にもたくさんあるでしょう。ここでは深堀しません。)

まとめ

ツラツラと書いてしまいましたが、言いたかったのは、残業が増えれば生産性が低下するのはその通りだが、それには事情がある。愚痴った後は、残業をしないで済む方法を考えたらどうだろうかという事でした。

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