事例の読み解き方/中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン

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中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン

先日、経済産業省から公表された「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」を読んでみました。所感とともに簡単にまとめておきたいと思います。

全部で50ページほどの小冊子ですので、興味を持った方はざっと目を通していただいたほうがよろしいかと思います。何事も、1次データに当たるのが最も正確ですから。

ガイドラインの概要

タイトル通り、「日本経済の約7割(GDP・雇用ベース)を占める」サービス産業にスポットをあてた「生産性向上のためのガイドライン」です。

「生産性の向上のためには、付加価値の向上(=売上向上)と効率の向上(=コスト削減)を行う必要がある」「事業コンセプトの見直しを行う必要がある」というを主張した後に、具体的な手法として、以下の10の手法を事例とともに紹介しています。

その10の手法とは、

  • (1)新規顧客層への展開
  • (2)商圏の拡大
  • (3)独自性・独創性の発揮
  • (4)ブランド力の強化
  • (5)顧客満足度の向上
  • (6)価値や品質の見える化
  • (7)機能分化・連携
  • (8)IT 利活用(付加価値向上に繋がる利活用)
  • (9)サービス提供プロセスの改善
  • (10)IT利活用(効率化に繋げるための利活用)

です。

セオリーと事例

ガイドラインのターゲットが、「中小サービス事業者」と大きな括りになっているせいか、抽象度の高い内容になってしまっています。言ってしまえば、当たり前のことの羅列です。

例えば、(1)新規顧客層への展開について、ガイドラインからそのまま引用すると・・・

これまでマーケティングの不足などの理由で、事業の主たる対象にしてこなかった、または意識しなかった同一商圏内の主体を新たな顧客としてビジネスモデルに取り込むことが、付加価値の向上を通じた生産性向上に繋がります。

すなわち、事業の主たる対象を拡大・再設定し、事業の付加価値を拡大するものです。ただし、新規の顧客に拡大するためには、提供するサービス・商品の内容や提供方法等の修正が必要なケースが多いと考えられます。

この場合、研究開発や設備への新たな投資、人的体制の強化等が必要になります。その際、得られる効果に見合った投資等でなければ生産性を却って低下させてしまいますので、マーケティングによる綿密な情報分析等に基づき費用対効果を確認することが重要です。

より効果的な新規顧客層へ展開のためには、ターゲットとする新たな顧客層の属性やライフスタイルを具体的に設定することや、既存顧客の中でターゲットを明確化し関係性を強化すること、他社との違いに敏感な顧客層に対する情報提供の手法の工夫、将来の成長性がある顧客層へ展開を検討する必要があります。

とあります。

なんだか難しいですね。大胆に要約すると次の通りとなります。

  • 新たな客層を取り込むためには製品・サービスを見直す必要もある
  • 闇雲にやるとコストばかりかかるので、きちんとマーケティング活動をしましょう

と、なります。

他のこんな具合で、具体的な施策が書いてあるわけではありません。まぁ、ガイドラインですからね。そこで、この点を補う形でいくつか事例が紹介されています。上述したガイドラインよりもこの事例のほうが貴重だと思います。

事例を読む上での3つの重要ポイント

事例を読む上で、重要なポイントが3つあります。

  1. 異業種の事例こそ参考にするべきであるということ
  2. 紹介されている成功事例の裏には多くの失敗や苦悶があるということ
  3. 失敗や苦悶を乗り越える源泉が経営者の理念や執念であるということ

順に説明します。

1.異業種こそ参考に

同業者の事例は、既にどこかで耳にした内容ばかりだと思います。身近なところに、類似の取り組みを行っている先行者も多数いるかもしれません。これはこれで参考にすべき点もありますが、新しい視点を得られることはあまりないのではないでしょうか。

それよりも、全く関係のない異業種にこそ、思いもよらないヒントがあるものです。

2.成功事例の裏をみる

ページの都合もあるのでしょうが、本ガイドラインでは「成功事例」の部分しか記載されておりません。

成功事例とはある意味、氷山の一角です。数多くの失敗と試行錯誤の果てに、やっと掴んだ成功事例です。全体(成功に至るまでの取り組み)を見ずに、その一部(成功事例)だけを見るのはもったいないことです。

成功に至るまでにどのような試行錯誤があったのか、想像しながら事例にあたるべきでしょう。

3.経営者の執念

普通は、失敗が重なれば途中で止めたり、あるいは止めざるを得なかったりします。資金にも限りがありますし、まだ投入できる資金があったとしても、失敗が続けば気持ちが折れるものです。

そういう状況をどうやって乗り越えたのか。「数多くの失敗と試行錯誤」をやり通す経営者の執念とはどのようなものなのか。こういう事についても、事例から読み取る(推測す)べきものです。

オススメの事例集

経営者の執念をうかがい知ることができる良い本です。下手な経営書よりもよほどタメになると思います。古い本ですがオススメです。

 

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