IT企業の稼働率管理の何がダメなのか

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アベっている人たち

「アベっている」とは「Available Time(アベイライブル・タイム)の状態にある」つまり、プロジェクトにアサインされず暇している人たちのことです。

コンサルティングファームなどでよく使われているようです。IT業界ではあまり使われないようですが、呼称だけの話で、同様の状態になるケースは多々あります。

人月商売において「アベっている」状態は売上に貢献しない時間です。ですので、そのような時間は少ないほうがよい、ということになります。

何故、アベるのか。単純に案件(受注)が不足しているからです。案件が不足していると人が余ります。余ってしまった人はアベらざるを得ません。

プロジェクトとプロジェクトの隙間は「アベっている」ことになります。常に、プロジェクトを複数掛け持ちしていれば、そうそうアベることはありません。

使い勝手がよい(対応範囲が広く、能力も高く、更に人柄もよい)エンジニアは、アベる確率は低くなります。

マネージャーの行動

アベっている時間は売上に貢献しません。仕事がなくとも人件費や家賃などの費用は発生しているわけです。もったいないので、アベっている時間をなるべく少なくしなければなりません。

それで、稼働率という指標を用いて管理しようとします。

組織としての稼働率が低ければ、それらを高めるべく、アベっている人を忙しいプロジェクトに放り込む(比喩ではなく本当に)とか、セールスの才覚が多少でもあれば案件獲得のための活動に回したりします。

稼働率管理の問題点

人月商売ビジネスには重要な指標である「稼働率」ですが、いろいろ問題もあります。

誤ったマネジメント

まず1つは(そんなアホなと思うかもしれませんが)、マネージャーが「受注獲得」ではなく「稼働率向上」に執心してしまうことです。

稼働率は結果指標であり、直接コントロールする対象にするべきではありません。

しかし、稼働率をあげろ!と檄を飛ばすだけのマネージャーがいるのも事実です。

案件が十分にないのに稼働率をあげたって、プロジェクト原価を悪化させるだけです。

仕事とってこい!のほうがまだマシです。

私はこれを「かけ声マネジメント」と呼んでいるのですが、原価や場の雰囲気、人間関係が悪くなる以外に効果はないと思っています。

稼働率至上主義の弊害

もう1つは、こちらのほうが深刻なのですが、稼働率至上主義となってしまうことです。

これが過剰になると、仕事のやり方を変えるとか、ビジネスモデルを変えるとか、マーケティング活動を始めるとかの、プロジェクト活動以外のことがおざなりになります。

IT企業こそITで効率化すべきだと、よくいわれますが、効率化は稼働率の向上に貢献しないので、誰もやろうとはしません。

稼働率を超えて

多重下請け・人月商売から抜け出そうと考えるのなら、稼働率管理そのものを見直すべきでしょう。

稼働率の高低は、顧客価値とは何の関係もないからです。

参考文献

この「稼働率問題」を目の当たりにすると、「利益を捻出するために過剰在庫を生み出す」という古典的な現象を思い出します。頭ではわかっていても、年度末になって切羽詰ると「それもやむなし」となるのでしょうか。落ち着いて「ザ・ゴール」でも読んでいただきたいものです。そういう方のためにいいことが書いてありますから。キーワードは「スループット」「在庫」「業務費用」です。

 

 

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